「プロテインって種類が多いけど、結局どれが違うの?」

種類の違いは、味でも値段でもなく、アミノ酸が血中に出てくる速さでほぼ説明がつきます。速さが違うと、筋タンパク合成の立ち上がり方と持続時間が変わる。ここだけ押さえると、残りは自分の生活に合わせるだけになります。

先に結論です。

  • ホエイ = 速い。飲んで短時間で血中アミノ酸が跳ね上がる。運動後や朝の1杯に向く
  • カゼイン = 遅い。胃で固まってゆっくり出てくる。食間や就寝前など、次の食事まで間が空くときに向く
  • ソイ = 中間。速さはホエイ寄りだが、運動後の筋合成の立ち上がりはホエイに劣る
  • 食事のたんぱく質と粉のプロテインに、質の上下はない。違うのは速さ・手軽さ・コストです
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種類の違いは「速さ」で決まる

出発点は1997年のBoirie 1997です。炭素13でラベルしたミルクたんぱく質を使い、吸収の速さがたんぱく質の種類で違い、それが食後のたんぱく質合成・分解・蓄積を変えることを示しました。ここから「fast protein(ホエイ)」「slow protein(カゼイン)」という呼び方が定着します。

カゼインが遅いのは胃酸で凝固するからです。胃の中でゲル状になり、少しずつ小腸へ送られる。だから血中アミノ酸は低めの山が長く続きます。ホエイは液体のまま通過するので、短時間で高い山を作って落ちます。

どちらが優れているという話ではありません。 山の形が違うだけで、必要な形は場面によって変わります。

筋タンパク合成で比べると

では実際に筋肉の合成量で比べるとどうなるか。若い男性でホエイ加水分解物・カゼイン・大豆たんぱくを比較したTang 2009は、

  • 安静時も、筋トレ後も、ホエイとソイはカゼインより筋タンパク合成を強く刺激した
  • 筋トレ後に限れば、ホエイはソイよりも強く刺激した

と報告しています。著者らは、この差を消化の速さとロイシン含有量の小さな差で説明しています。

つまり運動直後の1杯としてはホエイが素直です。ソイは悪くないが一段落ちる。カゼインはこの場面では選ばない、という順序になります。

ただしこれは「飲んだ直後の合成速度」の話です。1日を通した合計たんぱく質量のほうが最終的な影響は大きいので、この差だけで種類を決める必要はありません

1回に飲む量 — 20gで頭打ちになる

もう1つ知っておくと無駄が減るのが量です。筋トレ後に卵たんぱくを0/5/10/20/40gと変えて調べたMoore 2009では、

  • 筋タンパク合成は 20gで最大になり、それ以上は増えなかった
  • 一方で 20gと40gではロイシンの酸化が有意に増えた(=余った分は燃やされる方向へ)

「多く飲むほど筋肉になる」わけではありません。1回20g前後を、回数で確保するほうが理にかなっています。1回40gを1度より、20gを2度です。

朝食で30gに寄せる考え方は朝食でたんぱく質30gを取ると中年の筋肉量が変わるにまとめてあります。

「プロテイン」と「たんぱく質」は何が違うのか

検索でよく見る疑問ですが、答えは単純です。プロテイン(英: protein)はたんぱく質そのものの英語であり、日本語で「プロテイン」と言うときは慣用的に粉末のたんぱく質食品を指しています。成分として別のものではありません。

粉が食事に勝る点は3つだけです。

粉のプロテイン食事のたんぱく質
速さ液体なので早く吸収される固形・脂質が多いほど遅い
手軽さ30秒で20g確保できる調理と咀嚼が要る
総コスト1回あたりで安いことが多い食材による
満腹感出にくい出やすい
他の栄養たんぱく質に偏る鉄・亜鉛・ビタミンも一緒に入る

粉は食事の置き換えではなく、たんぱく質が足りない時間帯を埋める道具と考えるとズレません。鶏むね肉やギリシャヨーグルトで足りているなら、無理に足す理由はありません。たんぱく源を偏らせたときに何が起きるかはささみと卵だけのたんぱく質に頼ると何が起きる?で扱っています。

EAA・BCAAとの役割の違い

  • プロテイン = たんぱく質そのもの。20種類のアミノ酸が丸ごと入る
  • EAA = 体内で作れない確認したいアミノ酸9種だけを取り出したもの。吸収は速いが、材料としては部分的
  • BCAA = そのうち3種(ロイシン・イソロイシン・バリン)だけ

筋肉を作る材料としては、丸ごと入っているプロテインが基本です。EAAやBCAAは、食事が摂れない場面や運動中の補助として役割が分かれます。「BCAAのほうが上位版」ではありません。

目的別の選び分け

こういう人見る種類詳しい比較
朝食のたんぱく質を足したいホエイホエイプロテインの選び方
筋トレ後に飲みたいホエイ同上
夜・間食・食間を埋めたいカゼインカゼインプロテインの選び方
乳製品でお腹が張るソイ下のカードで候補を確認
甘い飲み物を減らしたいプレーン系ならどれでも味とコストで選ぶ

よくある誤解

  • 「プロテインを飲むと太る」 — たんぱく質そのものではなく、総カロリーの問題です。加糖タイプは1杯で150kcalを超えることがあるので、成分表のエネルギーを見る
  • 「腎臓に悪い」 — 腎機能が正常な人で、通常の摂取量で問題が出るという確かな根拠はありません。腎疾患がある場合は主治医の指示が優先です
  • 「高いほど質がいい」 — 価格差の多くは味・製法(WPC/WPI)・ブランドによるもの。1回あたりのたんぱく質量とコストで割り戻すと逆転することがあります

まとめ

  • 種類の違いの正体は 吸収の速さ。ホエイは速い山、カゼインは低くて長い山(Boirie 1997)
  • 筋合成の刺激は ホエイ・ソイ > カゼイン、運動後は ホエイ > ソイ(Tang 2009)
  • 1回の量は 20gで頭打ち、それ以上は酸化に回る割合が増える(Moore 2009)
  • 粉と食事に優劣はない。粉は 速さと手軽さを買っている

種類を決めたら、次はその中での選び方です。朝と運動後ならホエイ、夜と食間ならカゼインにそれぞれ専用の比較軸をまとめてあります。